2018/02/10
なぜ日銀は物価上昇率2パーセント目標?資産への影響を解説!
2013年1月に日銀は前年度比物価上昇率2%目標を掲げ、マイナス金利など様々な金融政策を実施しています。
その背景には長年続くデフレから脱却し、インフレ状態を作出し、物価上昇を目指すことが日本の景気回復につながるという考え方があります。
それでは、この日銀の物価上昇目標によって我々の金融資産や生活にはどのような影響があるのでしょうか?
目次
なぜ日銀は物価上昇率を高くしたいのか?
デフレで景気の低迷が長期化
日本の経済は1990年代から低迷を続け、デフレ状態が20年以上続いてきました。
「日本経済には『物価が上がらない』あるいは『物価が緩やかに低下する』ことを前提とした体質が定着し、そのことが景気低迷の長期化につながった」
日銀の黒田現総裁は、このように原因を述べています。
ってことは、デフレだと景気って回復しないんすか?
そうなんです。デフレ下では
①賃金の低下と将来の不安増幅により、消費者が購買活動を控える。
②消費者に購入してもらうために製品の値下げる。
③企業の収入が下がり、労働者への給料が下がる。
という負のスパイラルが繰り返されてしまいます。
もし、より詳しくインフレやデフレについて、知りたければこちらの記事を参考にしてください。
「インフレ ・ デフレとは?」
デフレからインフレにシフトして景気回復
このように、デフレ状態下では、なかなか景気を回復することができません。
そこで日銀が金融政策の実行に踏み切り、インフレ状態を作り出して景気を回復させようとしているのです。
でも、なんでインフレ下だと景気ってよくなるんすか?
インフレ状態下ではデフレ状態下とは逆の状況が発生します。
投資活動は活発になり、消費者も物価が上がる前にモノを買おうとするようになります。
ん?よくわかりません。
物価が上がる前に、買っておこうという心理が働くため、消費が刺激され、モノに対する需要が高まる。そのため、企業は価格を上げられるようになります。
この結果、GDPや賃金の上昇、さらには失業率が低下し、不景気からの脱却が期待できるとされています。
このような理由から、景気をよくするために日銀はインフレ(物価の上昇)を狙っているのです。
物価上昇の悪影響とは – 個人資産への影響
物価上昇は経済にいい影響を及ぼします。
しかし、実はデメリットもあります。その代表例が実質金利の低下と、それによる個人資産への悪影響です。
実質金利とは?
実質金利ってなんすか?
実質金利とは、実質金利=名目金利ー物価上昇率という式で求められます。
実質金利を知るために、まず名目金利について説明します。
名目金利とは一般的な金利のことで、銀行などで「定期預金金利が3%」などと言う時の3%のことです。
この名目金利は、銀行の中だけのもので世の中の物価を指し示しているわけではありません。
実質金利とは、名目金利から物価上昇率を引いた数字のことで、資産が将来どのように増えるか減るかを示しています。
物価が2%上昇したら実質金利はどうなる?
じゃあ、ニュースになってた日銀がやってる2%の物価上昇が実現したら、その実質金利ってどうなるんすか?
では、計算してみましょう。現在の名目金利は、銀行の1年もの定期預金で0.02%ほどですので、
「名目金利0.02%ー物価上昇率2%=実質金利-1.98%」となり、
実質金利はマイナスになってしまいます。
実質金利がマイナスになるとどうなるんすか~?
実質金利がマイナスになるということは、銀行に預けていても、物価は上がっていくため、実際には資産がどんどん減ってしまうことを意味します。
え?実質金利がマイナスになると資産が減るってちょっとよくわかんないんすけど、どういうことっすか?
例えば、銀行預金の金利が年0.1%、物価上昇率が年2%という状況を考えてみましょう。
もし100万円を銀行に預けていたとすると、1年後に取り出せるお金は100万1,000円になりますよね。
しかし、預けていたお金は100万円1,000円になりますが、物価が上昇により100万円で買えていたものが1年後に102万円になっていれば、差額の1万9,000円分損してしまうことになります。
つまり、お金の増加率よりモノの値段の上昇率が上がると損になるってことです。
物価が上昇している時に、金利の低い銀行預金として資産を持っているのは、結果的に資産を減少させてしまうことになります。
なるほど。恐ろしいことを知ってしまった気がするな。
物価上昇局面で資産を守るための運用方法
物価上昇している中で、資産を全て銀行預金として保有しているのは非常にもったいない行為です。
じゃあどんな資産を持っておくべきなんすか?
物価上昇率よりも高い利回りを持つ金融商品
簡単に行ってしまえば、物価上昇率よりも高い利回りを持つ金融商品を持てば、実質の利回りがマイナスになることはありません。
日銀が物価上昇の目標2%よりも高い利回りを持つことで、資産の減少を防ぐことができます。
いや〜、具体的にどんな金融商品が物価上昇率よりも高い利回りなんすか?
利回りが高い金融商品となるとまず株がありますが、株は利回りが高い分、リスクも高くなります。
資産を守るという観点からすると、株式投資ではなく、海外での積立投資や北米での海外不動産投資がオススメです。
物価上昇に合わせて元本が増える金融商品
一般的に投資商品は購入時の金額が元本になり、その元本の額は物価が上昇しても一定です。
しかし、中には物価上昇に合わせて元本が増加していく金融商品もあります。
インフレの際にはこのような投資商品を持つことがオススメです。
物価上昇に合わせて元本が増える投資商品ってどんなのがあるんすか?
具体的には、不動産や金などです。
実物資産は物価の上昇に合わせて価格も上昇していくため、元本が増えていくことになります。
この実物資産以外にも、物価連動国債などの物価の影響を受けないように設計されている投資商品もあります。
まとめ
日銀が目指している物価上昇が実現された場合、銀行に預金している資産の価値はどんどん減少してしまいます。
「銀行に預けておけば安全」という時代はもう終わりと考えるべきかもしれません。
資産を守りたいのであれば、銀行預金にだけ頼るのは避け、物価上昇の影響を相殺するような投資商品で資産を保有することをオススメします。
早めの対策が吉ってことだな!
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