2017/12/11
なぜ日銀は物価上昇率2パーセント目標?資産への影響を解説!
2013年1月に日銀は前年度比物価上昇率2%目標を掲げ、マイナス金利など様々な金融政策を実施しています。
その背景には長年続くデフレから脱却し、インフレ状態を作出し、物価上昇を目指すことが日本の景気回復につながるという考え方があります。
それでは、この日銀の物価上昇目標によって我々の金融資産や生活にはどのような影響があるのでしょうか?
目次
なぜ日銀は物価上昇率を高くしたいのか?
デフレで景気の低迷が長期化
ピケガミ
1990年代から日本の経済は低迷を続けており、ずっとデフレの状態が20年以上続いていました。
アラヤン
それなんとなく聞いたことあんな~。
ピケガミ
日銀の黒田現総裁は、
「デフレのもとで、日本経済には『物価が上がらない』あるいは『物価が緩やかに低下する』ことを前提とした体質が定着し、
そのことが景気低迷の長期化につながった」
と述べています。
アラヤン
デフレだと景気って回復しないんすか?
ピケガミ
そうなんです。デフレ下では
①賃金の低下と将来の不安増幅により、消費者が購買活動を控える。
②消費者に購入してもらうために製品の値下げる。
③企業の収入が下がり、労働者への給料が下がる。
という負のスパイラルが繰り返されてしまいます。
アラヤン
そんな感じになってたのか〜。景気回復しないってのもわかるな。
ピケガミ
デフレからインフレにシフトして景気回復
ピケガミ
このように、デフレ状態下では、なかなか景気を回復することができません。
そこで日銀が金融政策の実行に踏み切り、インフレ状態を作り出して景気を回復させようとしているのです。
アラヤン
そもそも、インフレ下だとなんで景気ってよくなるんすか?
ピケガミ
インフレ状態下ではデフレ状態下とは逆の状況が発生します。
投資活動は活発になり、消費者も物価が上がる前にモノを買おうとするようになります。
アラヤン
それで、さっきのデフレと逆の状況がおきるってわけだな
ピケガミ
そうです。消費が刺激され、モノに対する需要が高まるため企業は価格を上げられるようになります。
この結果、GDPや賃金の上昇、さらには失業率が低下し、不景気からの脱却が期待できるのです。
アラヤン
インフレだと景気よくなるんすねー!
ピケガミ
そうなんです。景気をよくする効果がインフレにはあるので、日銀はインフレ、すなわち物価の上昇を狙っているのです。
物価上昇の悪影響とは – 個人資産への影響
ピケガミ
物価上昇は経済にいい影響を及ぼします。
しかし、実はデメリットもあるんです。その代表例が実質金利の低下と、それによる個人資産への悪影響です。
実質金利とは?
アラヤン
実質金利ってなんすか?
ピケガミ
実質金利を説明するためにまず対の概念となる、名目金利についてお話します。
名目金利とは一般的に金利と言われるもので、銀行などで「定期預金金利が3%」などと言う時の3%のことです。
アラヤン
なるほど。じゃあ、銀行とかで提示される金利のことなんだな。
ピケガミ
そうです。一方実質金利とは、その名目金利から物価上昇率を差し引いた数値になります。
実質金利=名目金利ー物価上昇率という式で求められます。
つまり、物価が上昇するとその分実質金利は下がってしまいます。
物価が2%上昇したら実質金利はどうなる?
アラヤン
じゃあ、ニュースになってた日銀がやってる2%の物価上昇が実現したら、その実質金利ってどうなるんすか?
ピケガミ
では、計算してみましょう。現在の名目金利は、銀行の1年もの定期預金で0.02%ほどですので、
「名目金利0.02%ー物価上昇率2%=実質金利-1.98%」となり、
なんと実質金利はマイナスになってしまいます。
アラヤン
実質金利がマイナスになるとどうなるんすか~?
ピケガミ
実質金利がマイナスになるということは、銀行に預けていてもどんどん資産が目減りしてしまうことを意味しています。
アラヤン
え?実質金利がマイナスになると資産が目減りするってちょっとよくわかんないんすけど、どういうことっすか?
ピケガミ
例えば、銀行預金の金利が年0.1%、物価上昇率が年2%という状況を考えてみましょう。
もし100万円を銀行に預けていたとすると、1年後に取り出せるお金は100万1,000円になりますよね。
アラヤン
そうだな。
ピケガミ
しかし、物価が上昇しているので、もともと100万円で買えていたものが1年後には102万円になってしまっています。
そのため、差額の1万9,000円分損してしまうことになります。
アラヤン
ってことは、、お金の増加率よりモノの値段の上昇率が上がると損になるってことだな!
ピケガミ
そういうことです。
物価が上昇している時に、金利の低い銀行預金として資産を持っているのは、結果的に資産を減少させてしまうことになります。
アラヤン
なるほど。怖いなぁー。。
物価上昇局面で資産を守るための運用方法
ピケガミ
物価上昇している中で、資産を全て銀行預金として保有しているのは非常にもったいない行為なんですよ。
アラヤン
じゃあどんな資産を持っておくべきなんすか?
物価上昇率よりも高い利回りを持つ金融商品
ピケガミ
物価上昇率よりも高い利回りを持つ金融商品であれば、実質の利回りがマイナスになりません。
なので、日銀が物価上昇の目標とする2%よりも高い利回りを持つ金融商品を保有すれば、資産が減少することを防ぐことができます。
アラヤン
どんな金融商品が物価上昇率よりも高い利回り持ってるんすか?
ピケガミ
利回りが高い金融商品となるとまず株がありますね。
ただ株は利回りが高い分、元本割れを起こしてしまうリスクも高くなります。
アラヤン
とすると何がいいんだ?
ピケガミ
資産を守るという観点からすると、株式投資ではなく、海外での積立投資や北米での海外不動産投資がオススメです。
アラヤン
なんか難しそうだな。
ピケガミ
アラヤン
資産守ろうとしてるのに元本割れしちゃうのって元も子もないっすもんね!
物価上昇に合わせて元本が増える金融商品
ピケガミ
一般的に投資商品は購入時の金額が元本になり、その元本の額は物価が上昇しても一定です。
しかし、中には物価上昇に合わせて元本が増加していく金融商品もあります。
インフレの際にはこのような投資商品を持つことをオススメします。
アラヤン
物価上昇に合わせて元本が増える投資商品ってどんなのがあるんすか?
ピケガミ
不動産などの実物資産ですね。実物資産は物価の上昇に合わせてそれ自身の価格も上昇していくため、元本が増えていくことになります。
アラヤン
それだったらインフレでも損しなさそうっすね〜!
ピケガミ
この実物資産以外にも、物価連動国債などの物価の影響を受けないように設計されている投資商品もあるので、ぜひ色々チェックしてみてください。
アラヤン
そうだな。ありがとよ。
まとめ
ピケガミ
日銀が目指している物価上昇が実現された場合、銀行に預金している資産の価値はどんどん減少してしまいます。「銀行に預けておけば安全」という時代はもう終わりかもしれません。
アラヤン
これからはいろいろ考えて生きなきゃな。
ピケガミ
資産を守りたいのであれば、銀行預金にだけ頼るのは避けたほうがいいでしょう。先ほど紹介したような、物価上昇の影響を相殺するような投資商品で資産を保有することをオススメします。
アラヤン
なんにもしないと損しちゃうってことだな!今のうちに対策始めておくよ!!
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